春の柔らかな空気の中、手縫いで何かを作っている。
縫い物は私も大好きなのでふんわりいい気分になる。もしこれが誰かの為に作っているのであれば、その時間はもっともっと幸せでいい。
 出来上がりが早く見てみたくて、ついつい時間を忘れて作ってしまう。『渡した時に相手がどんな顔をするだろう』とか、あれこれ考えながら何かを作る時間は、とても楽しくて充実している。

 

 

 

 

 

 

 それから、ちょっとまがった運針と、兵隊ラッパの真っ直ぐなフレーズが共鳴して、千人針を思い出した。

 桜の季節に、出兵する恋人や夫や息子の為に縫い物をした女性達の気持ちを考える。この柔らかな句の中に、そういう昔の春の空気も感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あともう一つ、この句のカタカナの「トテチテタ」というフレーズを見て、父を思い出した。大正生まれで、書き物が好きだった父は、筆まめで、プレゼントなどには、いつも短い手紙が添えてあった。
 それには「おたんじゃうびオメデトー。」というように、よくカタカナが登場した。父は、亡くなる前の年まで、誕生日には、忘れずに短い手紙をくれた。この何年か、忙しくてそんな事はすっかり忘れてしまっていたのだが、この句を見て「トテチテタ」という言葉に何とも言えない懐かしさを感じた。
 
 そんなこともあって、どうしてもこの句の絵を描いてみたくなったのだ。
素敵な一句で、いろいろなことを思い出させてくださった小林檀さんには、心よりお礼申し上げます。

玉簾 

 

 

 

 

 

 

 

 

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