haiga.no.2
1月21日の朝、チリンチリンと聞きなれない音がしたので玄関を開けたら、
何と托鉢僧がお経を唱えていた。お坊さんが少ないこの島で托鉢僧を見る事は
めったにないので驚いた。私は左手に持っていたお鉢に、ちゃんと食事がとれ
るくらいの金額のお金を入れた。お坊様は、一段とお経の声を大きくしたので
私はどうしていいのかわからなくて合唱した。合唱している間、お坊様の足を
見ていた。草鞋の間に見える素足は、北風の中を大変よく歩いている足だった
ので山頭火を思い出した。そのお坊様は筋肉質でがっちりしており、読経の声
も力強くいかにも厄を飛ばしてくれそうで頼もしかった。お坊様は笠の奥から
ぎらりと光る強い目で私の目をじっと見ながら読経を終えて一礼して去った。
あの人はお坊さんではなくお坊様だった。
あの人はどこから来てどこへ行ったのだろう。
その日いいことがあったのはあのお坊様のおかげかもしれない。
托鉢の踝に生
(あ)
る竜の玉 玉簾
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